新事業進出補助金とは。いまはどうなっているか
「中小企業新事業進出補助金」(公募要領の名前は中小企業新事業進出促進補助金)は、中小企業がいまの事業とは違う新しい市場に出ていくための設備投資を助ける補助金でした。中小機構が公募し、第1回から第4回まで行われました。
| できごと | 日付 |
|---|---|
| 第4回の公募期間 | 2026年3月27日(金)〜6月19日(金)18:00 |
| 第3回の採択者の交付申請の受付終了 | 2026年9月1日(火)18:00 |
| 第4回の採択結果の公表 | 2026年9月30日(水) |
前の補助金の公式サイトには「本補助金の公募は終了しております」とあり、新規の受付は「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」へ案内されています。ミラサポplus(中小企業庁)の発表では、第4回は申請1,499者のうち508者が採択されました。
新しい補助金の公式サイトには「『中小企業新事業進出補助金』と『ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金』とは異なる補助金です」と書かれています。新事業進出枠は前の補助金とよく似ていますが、別の補助金です。様式や要件は、新しい公募要領で確かめてください。
前の補助金から何が変わったか
| 項目 | 前の新事業進出補助金(第4回) | 新事業進出枠(2026年第1回) |
|---|---|---|
| 補助上限 | 従業員20人以下 2,500万円〜101人以上 7,000万円(賃上げ特例で最大9,000万円) | 同じ(20人以下 2,500万円〜101人以上 7,000万円、特例で最大9,000万円) |
| 補助の下限 | 750万円 | 750万円 |
| 補助率 | 1/2(特例で2/3) | 1/2(特例で2/3) |
| 事業をする期間 | 交付決定から14か月以内 | 交付決定から14か月以内 |
| 新しい事業の決め方 | 「新事業進出指針」の定義(製品の新規性・市場の新規性・新事業売上高) | 公募要領で、製品等の新規性と新しい市場を求める。前の「新事業売上高要件」は基本要件の一覧にない |
| 付加価値額の目標 | 付加価値額か、従業員一人当たり付加価値額で年平均4.0%以上 | 付加価値額で年平均4.0%以上 |
| 審査の見方(新市場性・高付加価値性) | 「社会での普及度・認知度が低い」か「同じ分野で高い付加価値・高い価格をめざす」かを選んで示す | 同じ(選んで示す) |
| 対象の経費 | 機械装置・システム構築費、建物費など | 前の経費に原材料費(試作品の開発用)が加わった |
| ほかの枠 | なし | 革新的新製品・サービス枠、グローバル枠と同じ補助金の中にある |
数字の多くは同じです。大きく変わったのは、ものづくり補助金の流れをくむ枠や輸出向けの枠と一つの補助金にまとまったことと、新しい事業の示し方です。1回の公募で申請できるのは1社1件なので、どの枠で出すかを先に決める必要があります。
新事業進出枠の対象になる事業
新事業進出枠の対象は、次の2つを両方満たす事業です。ここでの「新しい」は、その会社にとって新しいという意味です。日本で初めて・世界で初めてである必要はありません。
- 製品・サービスが新しい:その会社がこれまで作ったり出したりしていない製品・商品・サービスであること。公募の開始日(2026年6月29日)以降に初めて取り組む事業が、新しいとみなされます。
- 市場が新しい:これまでの事業で相手にしていなかったニーズや属性(法人か個人か、業種、行動の特徴など)の客層を相手にすること。
| 例 | なぜ当たらないか |
|---|---|
| いまの製品をもっとたくさん作る | 製品が新しくない |
| 昔作っていた製品をまた作る | 製品が新しくない |
| 作り方を変えるだけ | 製品が新しくない |
| メニューを1つ足すだけ・いまの製品の需要が置きかわるだけ | 市場が同じ |
| いまの市場の一部だけをねらう | 市場が新しくない |
| 同じ製品を別の地域で売るだけ | 商圏がちがうだけで、市場は同じ |
設立・創業から1年に満たない会社は、新事業進出枠に申請できません(最低1期分の決算書が必要)。従業員が0人の会社も対象外です。創業まもない場合は、革新的新製品・サービス枠やほかの補助金も比べてください。
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新事業進出枠でいくらもらえるか
| 従業員数 | 補助上限 |
|---|---|
| 1〜20人 | 2,500万円(3,000万円) |
| 21〜50人 | 4,000万円(5,000万円) |
| 51〜100人 | 5,500万円(7,000万円) |
| 101人以上 | 7,000万円(9,000万円) |
補助の下限は750万円です。補助率は1/2で、地域別最低賃金引上げ特例に当たる会社は2/3です。補助金はあとから受け取るので、たとえば1,500万円の補助を受けるには、少なくとも3,000万円の投資をいったん自社で払うことになります。対象の経費は、機械装置・システム構築費、建物費、運搬費、技術導入費、知的財産権等関連経費、外注費、専門家経費、クラウドサービス利用費、原材料費、広告宣伝・販売促進費です。機械装置・システム構築費か建物費のどちらかは必ず入れます。
付加価値額の年平均4.0%以上の成長、一人当たり給与支給総額の年平均3.5%以上の伸び、事業場内の最低賃金を地域別最低賃金より30円以上高くすること、一般事業主行動計画の公表などの基本要件は、3つの枠に共通です。くわしくはものづくり補助金の記事の「基本要件」を見てください。
審査で見られること
書類の審査では、事業の中身が補助金の目的に合っているか、実現できるか、お金の面で続けられるかなどを見ます。新事業進出枠だけの項目として「新規事業の新市場性・高付加価値性」があり、次の2つのどちらかを選んで示します。
| 選ぶ道 | 示すこと |
|---|---|
| ① 新市場性 | 製品が属する分野が、社会でまだあまり広まっていない・知られていないこと。客観的なデータや統計で裏づける |
| ② 高付加価値性 | 同じ分野の中で、一般的な付加価値や相場の価格よりも高い水準をめざすこと。その強みの分析も示す |
公式サイトの資料のページに「新市場・高付加価値事業の考え方」という資料があります。業界の動きや地域の人口を調べるには、公募要領が紹介している地域経済分析システム(RESAS)も使えます。書類の審査を通った会社の一部には、オンラインの口頭審査(15分ほど・申請者本人が答える)があります。
前の補助金に申請した会社は、どうなるか
- 前の補助金で採択・交付決定を受けた会社:その事業は、前の補助金の決まり(交付規程・手引き)で進めます。実績報告・事業化状況報告も、前の補助金の公式サイトの案内に従います。
- 前の補助金で不採択だった会社:新しい補助金に、計画を見直して申請できます。ただし様式も審査の項目も新しくなっているので、前の計画をそのまま出さないでください。
- 最近、前の補助金などで採択された会社:新しい補助金の申請締切から数えて16か月以内に、事業再構築補助金・前の新事業進出補助金・ものづくり補助金で採択された会社(採択を辞退した会社をのぞく)や、締切の時点でそれらの交付決定を受けて事業をしている会社は、対象外です。
- 何度も交付決定を受けている会社:申請日から過去3年に、事業再構築補助金・新事業進出補助金・ものづくり補助金の交付決定を合わせて2回以上受けていると、新しい補助金は対象外です。
- 新しい補助金で採択・交付決定を受けた会社の2回目の申請は、一定の条件を満たす場合に限られます。
締切と、いまからの準備
新しい補助金の第1回は、2026年10月30日(金)18:00締切です(厳守)。採択の発表は2027年1月ごろの予定です。2026年10月26日時点で、第2回の予定は公式サイトに出ていません。GビズIDプライム(発行まで1週間ほど)と一般事業主行動計画の公表(1〜2週間ほど)は、どちらも締切に間に合わなくても延長されません。次の回をねらうなら、いまのうちに取っておくと安心です。
必要な書類(決算書3期分・労働者名簿・確定申告書の控えなど)と申請の流れは、ものづくり補助金の記事と申請に必要な書類の記事にまとめています。新しい事業の設備は金額が大きいので、補助金が入るまでの資金はつなぎ融資の記事も参考にしてください。金融機関から借りて行う場合は、その金融機関の「金融機関による確認書」が要ります。
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よくある失敗
- 「自社にとって新しい」を説明できていない:いまの製品・客層とどこがちがうかを、具体的に書きます。メニューの追加や商圏を広げるだけでは対象外です。
- 買った設備をいまの事業にも使う:補助金で買った設備や建物は、計画に書いた新しい事業だけに使います。いまの事業に使うと、補助金を返すことになります。
- 交付決定の前に発注する:交付決定の前に発注・契約・支払いをした経費は対象外です。
- 計画を人に作らせる:事業計画は申請者自身が作る決まりです。外部の支援を受けたら、名前・内容・報酬を電子申請に書きます。
- グループ会社で別々に申請する:親会社と子会社などは「みなし同一事業者」として、1回の公募で1社しか申請できません。
ホジョナビは申請の代行をしません。制度をさがし、書類をそろえ、自分で計画を書くための道具です。採択されなかったときの見直し方は不採択の記事を見てください。
よくある質問
- 中小企業新事業進出補助金は、もう申請できませんか?
- 第4回(2026年6月19日締切)で公募を終えました。新規の受付は「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」に移っており、その中の新事業進出枠がいちばん近い枠です(2026年10月時点)。
- 新事業進出枠の補助上限はいくらですか?
- 第1回公募では、従業員20人以下で2,500万円、21〜50人で4,000万円、51〜100人で5,500万円、101人以上で7,000万円です。賃上げ特例を使うと、それぞれ3,000万円・5,000万円・7,000万円・9,000万円まで上がります。補助の下限は750万円です。
- 日本で初めての事業でないと、だめですか?
- いいえ。新事業進出枠の「新しい」は、申請する会社にとって新しいという意味です。ただし審査では、社会での普及度が低いことか、同じ分野で高い付加価値をめざすことのどちらかを示します。
- 前の補助金で採択された事業は、どうなりますか?
- 前の補助金の決まりで、交付申請・実施・実績報告を進めます。前の補助金の公式サイトの案内に従ってください。
- 創業したばかりでも申請できますか?
- 新事業進出枠は、設立・創業から1年に満たない会社は対象外です。革新的新製品・サービス枠とグローバル枠は、創業1年未満でも履歴事項全部証明書(個人は開業届)を出して申請できる場合があります。くわしくは公募要領で確かめてください。
出典
内容は、次の公式の資料で確かめました(かっこの中は確かめた日)。
- 中小機構『新事業進出・ものづくり商業サービス補助金 公募要領(第1回)1.3版』(2026年9月)(2026年10月26日)
- 中小機構『新事業進出・ものづくり商業サービス補助金』資料ダウンロード(2026年10月26日)
- 中小機構『中小企業新事業進出補助金』公式サイト(公募終了の案内)(2026年10月26日)
- 中小機構『中小企業新事業進出促進補助金 公募要領(第4回)1.0版』(2026年3月)(2026年10月26日)
- ミラサポplus『新事業進出補助金(第4回公募)の補助金交付候補者を採択』(2026年9月30日)(2026年10月26日)
この記事は、ホジョナビの運営(株式会社ブレイクスルー)が、公式の資料をもとに作成しています(作り方は編集の方針)。ホジョナビは申請の代行や融資の紹介をしません。採択や融資の実行をお約束するものではありません。誤りに気づいたときは、hojonavi_support@breakthru.co.jpまでお知らせください。