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雇用関係の助成金

キャリアアップ助成金とは|2026年度のコースと金額

会社・個人事業主・士業の事務所・金融機関・支援機関向け公開 更新

この記事で分かること

キャリアアップ助成金は、パート・契約社員・派遣社員など非正規で働く人を正社員にしたり、待遇をよくしたりした会社に、国(厚生労働省)が助成する制度です。いちばん使われる正社員化コースは、中小企業なら1人あたり最大80万円です。この記事では、令和8年度(2026年度)のコースと金額、条件、申請の流れを、厚生労働省のパンフレット(2026年4月8日現在)をもとにまとめます。

キャリアアップ助成金とは

キャリアアップ助成金は、有期雇用労働者・短時間労働者・派遣労働者(まとめて「有期雇用労働者等」)の、会社の中でのキャリアアップを進めるための助成金です。会社が雇用保険料として払うお金(雇用保険二事業)で運営されている、雇用関係の助成金の1つです。

補助金とちがい、多くは「審査で選ばれた会社だけ」ではなく、決められた条件を満たせば支給されるしくみです。ただし、条件は細かく、1つでも欠けると支給されません。また、取り組んだあとに申請する後払いです。

この記事の内容は、令和8年度版のパンフレット(2026年4月8日現在)とQ&A(2026年7月29日改訂)にもとづきます。厚生労働省は、年度の途中で要件が変わることがあるとしています。取り組む前に、厚生労働省のキャリアアップ助成金のページと、管轄の労働局・ハローワークで最新の要件を確かめてください。

コースの一覧と、いくらもらえる

令和8年度は、「正社員化支援」と「処遇改善支援」に分かれた6つのコースがあります。中小企業と大企業で金額がちがいます。

令和8年度のコースと助成額(2026年4月8日現在)
コースどんな取り組み中小企業大企業
正社員化コース有期雇用労働者等を正社員に転換する(派遣労働者を直接雇用する)1人 最大80万円1人 最大60万円
障害者正社員化コース障害のある有期雇用労働者等を正社員などに転換する1人 最大120万円1人 最大90万円
賃金規定等改定コース有期雇用労働者等の基本給の賃金規定を3%以上上げる1人 4万〜7万円1人 2.6万〜4.6万円
賃金規定等共通化コース正社員と共通の賃金規定を新しく作り、適用する1事業所 60万円1事業所 45万円
賞与・退職金制度導入コース有期雇用労働者等に賞与か退職金の制度を新しく入れ、支給・積立をする1事業所 40万円(賞与と退職金を同時に入れると56万8,000円)1事業所 30万円(同時なら42万6,000円)
短時間労働者労働時間延長支援コース短時間労働者の労働時間をのばすなどして、社会保険に入れ、収入を増やす1人 40万円(小規模企業50万円)+2年目20万円(同25万円)1人 30万円+2年目15万円

中小企業かどうかは、資本金か、常時雇用する労働者の数で決まります(小売業・飲食店は5,000万円以下か50人以下、サービス業は5,000万円以下か100人以下、卸売業は1億円以下か100人以下、その他は3億円以下か300人以下)。

正社員化コースの金額と加算

正社員化コースの1人あたりの助成額
対象者企業規模有期 → 正社員無期 → 正社員
重点支援対象者中小企業80万円(40万円×2期)40万円(20万円×2期)
重点支援対象者大企業60万円(30万円×2期)30万円(15万円×2期)
上記以外中小企業40万円(1期)20万円(1期)
上記以外大企業30万円(1期)15万円(1期)

重点支援対象者とは、次のどれかに当てはまる人です。a:雇い入れから3年以上の有期雇用労働者。b:雇い入れから3年未満で、過去5年間に正社員だった期間が合わせて1年以下、かつ過去1年間に正社員として雇われていない有期雇用労働者。c:派遣労働者、母子家庭の母・父子家庭の父、人材開発支援助成金の特定の訓練を終えた人。重点支援対象者は、正社員にしてから6か月ごとに2回(2期)申請できます。

  • 1年度・1事業所あたり、申請できるのは20人までです(同じ人の2回目の申請はのぞく)。
  • 有期雇用の期間が通算5年をこえた人は、無期雇用労働者として扱われます。
  • 新規学卒者で、雇い入れから一定の期間がたっていない人は対象外です。
正社員化コースの加算(1事業所あたり1回だけ)
取り組み中小企業大企業
正社員転換の制度を新しく作り、その区分に転換した20万円15万円
多様な正社員(勤務地限定・職務限定・短時間正社員)の制度を新しく作り、転換した40万円30万円
正社員転換についての情報を、自社のサイトか「しょくばらぼ」に公表した(2026年4月8日以降の転換から。新設)20万円15万円

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もらうための条件は

すべてのコースに共通する主な条件は、次のとおりです。

  • 雇用保険の適用事業所の事業主であること。
  • 事業所ごとにキャリアアップ管理者を置いていること。
  • 事業所ごとにキャリアアップ計画を作り、取り組みの前日までに労働局に出していること。
  • 出勤簿・賃金台帳などで、労働条件や賃金の払い方をはっきり示せること。
  • 労働保険料を滞納していない、申請の前1年間に労働関係の法令に違反していない、など。

正社員化コースでは、さらに次の条件があります。

  • 正社員に転換する制度を、就業規則などに書いておくこと。
  • 対象の人が、正社員とはちがう雇用区分の就業規則のもとで、通算6か月以上働いていること。
  • 転換後6か月間の賃金を、転換前6か月間より3%以上増やすこと。
  • 転換後の正社員に、「賞与か退職金の制度」と「昇給」が適用されていること(これがないと、この助成金でいう正社員になりません)。

申請の流れ

  1. キャリアアップ計画を作り、取り組みの前日までに労働局(ハローワーク経由も可)に出す。
  2. 転換の制度がなければ、就業規則などを改める。
  3. 就業規則にもとづいて、正社員に転換する(処遇改善のコースは、規定の改定などの取り組みをする)。
  4. 取り組みのあと6か月分の賃金を払う。
  5. 6か月分の賃金を払った日の翌日から2か月以内に支給申請をする。
  6. 労働局の審査を経て、支給が決まる。重点支援対象者は、さらに6か月後に2期目を申請する。

計画の提出と支給申請は、窓口への持ちこみ、郵送、電子申請(雇用関係助成金ポータル)でできます。

必要な書類

  • キャリアアップ計画(取り組みの前に出す)
  • 支給申請書と、コースごとの添付書類(厚生労働省の支給申請チェックリストで確かめる)
  • 転換の前と後の就業規則・労働協約など
  • 対象の人の雇用契約書・労働条件通知書(転換の前と後)
  • 転換の前と後の、出勤簿と賃金台帳(原本か、原本をそのまま写したもの)
  • 重点支援対象者bとして申請するときは、本人が書く対象者確認票

出勤簿や賃金台帳は、法律で決められた帳簿の原本か、その写しでなければなりません。申請用に書き写したり、加工したりしたものを出すと不支給になり、不正受給とされることもあります。一度出した書類を、会社の都合で差し替えることもできません。

よくある失敗と、気をつけること

  • キャリアアップ計画を出す前に、転換してしまう。計画は取り組みの前日までに出す必要があります。
  • 就業規則に転換の制度がないまま転換する。
  • 転換後の賃金の増え方が3%に届かない。手当の組みかえなどで、実際には増えていないこともあります。
  • 正社員に賞与・退職金の制度や昇給がない。
  • 支給申請の期限(2か月以内)を過ぎる。
  • 同じ取り組みで、別の助成金にも申請する。片方しか支給されないことがあります(併給調整)。

厚生労働省は、「100%助成金が受けられます」などとうたって勧誘する業者や、厚生労働省が関わっているかのように見せる勧誘に注意するよう呼びかけています。不正受給になると、返還に加えて延滞金・違約金がかかり、5年間は雇用関係の助成金を受けられません。代理人が関わった場合も、申請するのは会社の名前なので、会社も処分の対象になります。

キャリアアップ助成金のような雇用関係の助成金の申請書を、報酬を受けて会社の代わりに作ったり出したりできるのは、社会保険労務士です(社会保険労務士法。弁護士がその職務として行う場合をのぞく)。社労士でない人・会社に、報酬を払って申請を任せることはできません。

ホジョナビは、申請の代行はしません。会社が自分で準備するために、使える助成金を探し、必要な書類と期限を整理するのを手伝う道具です。顧問先の申請を受けもつ社労士の事務所が、どの助成金が当てはまりそうかを洗い出すのにも使えます(士業が顧問先に提案するやり方)。

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よくある質問

正社員にしたあとで、キャリアアップ計画を出しても間に合いますか?
間に合いません。キャリアアップ計画は、各コースの取り組みを行う日の前日までに出す必要があります。
社員が10人未満で就業規則がありません。それでも使えますか?
使えます。ただし、規定が必要なコースでは、会社の規模にかかわらず就業規則か労働協約を作り、労働者に示したうえで取り組む必要があります。10人未満の事業所は、取り組みの日までに社内に周知し、支給申請の前に労働基準監督署に届け出るか、周知したことの申立書を添える、とQ&Aに書かれています。パート・アルバイトを含めて常時10人以上いるなら、もともと就業規則の作成・届出の義務があります。
業務改善助成金と一緒に使えますか?
目的と対象がちがうので、取り組みの中身によっては両方を使える場合があります。ただし、同じ行為を対象に2つ以上の助成金を申請すると、片方しか支給されないことがあります(併給調整)。事前に労働局に確かめてください。
申請してから、いつ入金されますか?
入金までの日数は示されていません。パンフレットでは、申請の内容によっては審査に時間がかかることがある、とされています。正社員化コースは、転換から6か月分の賃金を払ったあとに申請するので、取り組みから入金まではさらに時間がかかります。資金繰りは、入金を当てにしすぎないように考えましょう。

出典

内容は、次の公式の資料で確かめました(かっこの中は確かめた日)。

  1. 厚生労働省『キャリアアップ助成金』(2026年10月26日)
  2. 厚生労働省『キャリアアップ助成金のご案内(令和8年度版・2026年4月8日現在)』(2026年10月26日)
  3. 厚生労働省『キャリアアップ助成金のご案内(リーフレット・2026年4月8日)』(2026年10月26日)
  4. 厚生労働省『キャリアアップ助成金(障害者正社員化コース)』(2026年10月26日)
  5. 厚生労働省『キャリアアップ助成金Q&A(令和8年度版・2026年7月29日改訂)』(2026年10月26日)

この記事は、ホジョナビの運営(株式会社ブレイクスルー)が、公式の資料をもとに作成しています(作り方は編集の方針)。ホジョナビは申請の代行や融資の紹介をしません。採択や融資の実行をお約束するものではありません。誤りに気づいたときは、hojonavi_support@breakthru.co.jpまでお知らせください。